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明治教科書板木
木越公威
木版とは版画の一種で,和紙の半紙を使う。木版を刷ることによってできるページを版という。版は見開きになるので,その中央(版心)に書名・上下巻・ページ数(丁つけ)・出版社名(版元)が書き込まれる。木版を作るのには,著者の書いた原稿を書家が和紙に丁寧に文字を書き,これを板に裏返しに貼りつけると文字が裏返しになって透けて見える。彫刻刀で文字に沿って削ると木版ができる。
この版木が作られたのは,1872(明治5)年に公布された学制の下で初めての近代的な教育システムが始まる際に教科書を作成する必要があったからである。そこから教科書の大量生産を目的として版画が作られ,明治期の教科書発行の際に作られたものである。そして初等教育のカリキュラムと教科書が定められ,教育現場では西洋文化の影響を受け,様々な科目が編纂された。1886(明治19)年からは検定制度が導入され,1903(明治36)年には検定教科書が発行された。これにより,教科書の内容や選定が国家の統制を受けるようになった。語学や地理,歴史,数学,心理学,経済,理科科目などの現代でもお馴染みな教科のほか,習字や礼法,農業などもあった。現在,明治期の教科書版木は,学習院大学図書館や筑波大学付属図書館など各地の学校や図書館に所蔵されている。

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