top of page
出口朋樹
本資料は,朝鮮で明治から大正期に作られた農民を模した人形である。この人形は土製品で,大きさは母親が14センチ,男性が15センチである。母親は肩に子供を乗せていて,男性はわきに棒を持っていて肩に背負子を背負っている。この人形が着ているのは朝鮮半島地域の伝統的な民族衣装である。上半身の衣服はチョゴリと呼ばれ,男女とも共通である。下半身の衣服は女性用はチマ,男性用はバジと呼ばれている。そして,頭に冠帽(かんむり)を載せ,腰に帯を巻き,そして靴または履(ぞうり)を履く。
母親の人形は乳房が出ているように見える。これは朝鮮の習慣で,18世紀以降,チマチョゴリに変化が起き,長男を産んだ女性は乳房を露出する習慣があった。当時の朝鮮では長男を産むことが社会的義務であり,この人形からは長男を重視する当時の朝鮮の文化や習慣も推察することができる。
この人形が作られた時代の朝鮮は,日本の植民地として統治されていた時代にあたり,この時代は1910(明治43)年朝鮮併合後の統治が本格化した時期にあたり,様々な社会的・文化的な変化がもたらされた。なお,日本の統治に反発する三・一独立運動やインフラ整備,都市化と近代化がみられたが,宗教や芸能や衣装などの生活文化や民族文化は生き続けた。

朝鮮農民風俗人形
bottom of page